2026-05-30

宅建の事例問題が解けない人へ|図を描いて解く思考プロセス

宅建の事例問題が解けない──その悩み、あなただけではありません

「条文や判例の知識はあるはずなのに、事例問題になると途端に手が止まる」
「選択肢を2つまで絞れるのに、最後の判断でいつも間違える」

宅建試験の学習を進めていくと、多くの受験生がこの壁にぶつかります。テキストを読めば理解できる。一問一答なら正解できる。それなのに、本試験形式の事例問題では点が取れない──。

実はこの現象には明確な原因があります。そして、正しいアプローチさえ身につければ、事例問題は「得点源」に変わります。この記事では、事例問題が解けない根本原因と、図を描いて解く具体的な思考プロセスを5ステップで解説します。

事例問題が解けない本当の原因は「丸暗記学習」にある

事例問題が解けない最大の原因は、知識を「点」で覚えていることです。

たとえば民法の代理の分野で、「無権代理人の行為は本人に効果が帰属しない」というルールを暗記したとします。一問一答形式なら、この知識だけで正解できます。

しかし本試験の事例問題では、こう問われます。

「AがBの代理人と称してCと契約を締結した場合において、Cが善意無過失であったとき、Bが追認を拒絶したときのCの権利について正しいものはどれか」

この問題を解くには、無権代理の基本ルールに加えて、相手方の保護規定、追認拒絶の効果、表見代理との関係を横断的に理解し、登場人物の関係を正確に把握する必要があります。

丸暗記では、個々のルールは覚えていても、それらを「つなげて使う力」が育ちません。これが事例問題で手が止まる根本原因です。

丸暗記学習と理解学習の決定的な違い

両者の違いを整理すると、次のようになります。

項目 丸暗記学習 理解学習
知識の持ち方 個々のルールを独立して記憶 ルール同士の関係性ごと理解
事例問題への対応 知識の引き出しが見つからない 問題文から論点を特定できる
応用力 見たことがない問題に弱い 初見の問題にも対応できる
記憶の定着 忘れやすく繰り返しが必要 理屈で覚えるため忘れにくい

事例問題を攻略するには、丸暗記から「理解学習メソッド」へ切り替えることが不可欠です。

理解学習メソッドとは?──「なぜそうなるのか」から考える学習法

理解学習メソッドとは、法律のルールを「結論」だけでなく「趣旨・理由」とセットで学ぶ方法です。

たとえば「詐欺による意思表示は取り消せる(民法96条1項)」というルールを学ぶとき、理解学習では次のように考えます。

  • なぜ取り消せるのか? → 騙された人の意思決定の自由が侵害されているから
  • なぜ「無効」ではなく「取消し」なのか? → 騙された人自身が追認して契約を維持する選択肢も残すため
  • 第三者が絡むとどうなるのか? → 善意無過失の第三者には対抗できない(96条3項)。取引の安全とのバランス

このように「なぜ」を理解していると、事例問題で登場人物が増えても、制度の趣旨に立ち返って正解を導けるようになります。

事例問題を図で解く5つのステップ

ここからは、事例問題を確実に解くための具体的な手順を紹介します。ポイントは「頭の中だけで考えない」ことです。

ステップ1:登場人物を書き出す

問題文に登場するA・B・Cなどの人物を、紙の上に丸で書き出します。この段階では関係性は気にせず、まず「誰が出てくるか」を視覚化します。

ステップ2:当事者間の関係を矢印で結ぶ

売買契約なら「A→B(売買)」、代理なら「A→B(代理権授与)」「B→C(契約締結)」のように、矢印と契約・行為の種類を書き込みます。矢印の向きは「誰が誰に対して何をしたか」を意識しましょう。

ステップ3:各当事者の主観を書き加える

「善意・悪意」「過失の有無」など、問題文に記載された各当事者の主観的事情を、人物の横にメモします。事例問題では、この主観の違いで結論が変わることが非常に多いため、見落としは致命的です。

ステップ4:適用条文・論点を特定する

図を見ながら、「この関係には何条が適用されるか」「論点は何か」を考えます。理解学習で制度の趣旨を押さえていれば、図の構造を見ただけで論点が浮かび上がるようになります。

ステップ5:結論を出してから選択肢を見る

図と条文から自分なりの結論を出した後に、選択肢を確認します。先に選択肢を見ると判断が引っ張られるため、「自力で結論を出す→選択肢で確認」の順序を徹底しましょう。

事例問題の練習で意識すべき3つのポイント

1. 最初は時間を気にしない

図を描く練習は、最初は1問に10分以上かかることもあります。しかし、繰り返すうちに図を描くスピードは自然と上がります。最初から時間を気にすると、図を省略する癖がつき、結局「頭の中だけで考えて間違える」パターンに戻ってしまいます。

2. 間違えた問題は図を描き直す

解説を読んで「なるほど」と思うだけでは不十分です。間違えた問題は、正しい関係図を自分の手で描き直すことで、どこで判断を誤ったかが明確になります。

3. 分野横断の問題を意識的に解く

本試験では、代理+詐欺、抵当権+賃貸借のように、複数の分野が絡む問題が頻出します。分野別に学習した後は、意識的に分野横断型の過去問に取り組みましょう。

まとめ

宅建の事例問題が解けない原因は、知識不足ではなく「知識の使い方」にあります。

  • 丸暗記では事例問題に対応できない
  • 理解学習メソッドで「なぜそうなるのか」を理解する
  • 図を描く5ステップで、登場人物の関係と論点を視覚化する
  • 練習では時間より正確さを優先し、間違えた問題は図を描き直す

事例問題は、正しい思考プロセスを身につければ必ず解けるようになります。「何度やっても事例問題で点が取れない」と感じている方は、まず学習法そのものを見直すことから始めてみてください。

宅建個別指導レトスでは、理解学習メソッドに基づいた指導を行っています。一人ひとりの弱点に合わせて、事例問題の解き方を基礎から丁寧に指導します。
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